4. 細菌や微生物と人類の共存

 

⑴〈 細菌の誕生 〉              

 

私たち人間と私たちの生活にかかせない

細菌たちは、どのようにして

生まれてきたのでしょうか

 

私たちの地球が誕生したのは、

今から 46億年前。

 

すざましい高熱と放射線や宇宙線が

降り注ぎ、とても生物が

存在できる状態ではありませんでした。

 

その後、時がたち、地球の温度が冷えて

海ができるようになった38億年前になると、

地球上には水と二酸化炭素ができました。

 

この水と二酸化炭素と太陽の光を

加えることで、

生命誕生に必要な最低限の条件が

出そろったといえます。

 

まだまだ過酷ではあったものの、

まず酸素がなくても生きていくことができる

バクテリアのようなものが誕生しました。

 

それから次はバクテリアのようなものが

出す酸素によって生きていくことができる

細菌が誕生しました。

 

これで地球上に

太陽、水、酸素、二酸化炭素、窒素など、

その後、さまざまな生命が生きていける

条件が整ってきたのです。

 

二酸化炭素があれば

酸素がなくても活動できる細菌と、

酸素がないと活動できない細菌たちが

共存する世界ができあがったのです。

 

そしてこの酸素を必要としない細菌と

酸素がないと活動できない細菌たちは、

お互いに共存すると同時に

私たち人類とも共存してきたのです。

 

それ以来、私たちの生活に関わり続け、

ある時は災いをもたらし、

ある時は私たちを助けてくれ、そして、

 

なくてはならない存在になっていくのです。

 

 

⑵〈 細菌や微生物と人類の共生 〉      

 

8848mのエベレストは地上と比べると

その環境は極限の過酷さに満ちています。

 

酸素は 3分の1

気温は地上より△50℃ほどの寒さです。

 

そのエベレストで困った問題が起きています。

大量の ゴミの問題です。

 

食べ物の残骸、缶詰、ペットボトル、

空いた酸素ボンベ、ロープ、などの登山用具、

そして最も困るのが人間の糞便です。

 

この過酷な酸素と気温の状態では、

微生物や細菌は生息できません。

 

もし生きていたとしても

活動することがむつかしいようです。

 

そうすると食べ物の残骸や人の糞便を

細菌が分解してくれないので、

そのままの状態で残ってしまいます。

 

私たちの想像を絶するくらい

ゴミが溜っているのです。

 

登山中に事故で亡くなった人たちの

遺体は回収することができずに

風雪にさらされてミイラになっています。

 

ネパール政府はエベレストのベースキャンプに

政府の出先機関を設置して、

ゴミや糞便の管理をしています。

 

その中心を担っているのはシェルパたちです。

ペットボトルや空の酸素ボンベや糞便を

カゴに担いで下山するのです。

 

またネパール政府は登山者に

ゴミの持ち帰りを義務付けています。

 

8Kg以上の持ち帰りを義務付けています。

罰金制度もあるようです。

 

ですから 積極的にゴミ拾いをしないと

そこら中ゴミだらけ、糞便だらけに

なってしまい困るのだそうです。

 

私たちの暮らす環境ではどうでしょう。

例えばバナナの皮が道端に落ちていると

いつの間にか干からびて無くなってしまいます。

 

犬の糞便も一緒です。

それは微生物、細菌がバナナの皮や糞便を

分解してくれるからです。

 

私たちは

 

「バイ菌」

 

と言って細菌や微生物たちをバカにしていますが、

 

人類誕生以来、私たちは細菌や微生物たちと

共存して生きてきました。

 

お互いに支え合って生きてきたのです。

 

微生物としては、ウィルス、細菌、リケッチア、

スピロヘータ、真菌類などの種類があります。

中には私たちに悪さをしたり、

病気を引き起こしたり、死に至らしめるものもいます。

 

  リケッチア = 腸チフスなどを引き起こす

細菌の一種

  真菌類 = 単細胞もしくは多細胞の生物の菌類で

糸状菌、酵母、キノコ類を含む

 

細菌が病原菌として引き起こす

病気だけに絞ってみても、

 

肺炎、髄膜炎、百日咳、腸チフス、赤痢、

ペスト、破傷風、結核、ハンセン病、コレラ

などがあります。

 

それらの中には、私たちを死にいたらしめる

かもしれない深刻な病気を

引き起こす病原菌もあります。

 

結核は 20世紀の前半まで死の病

として恐れられていました。

 

ペストは黒死病と言われ

14世紀にイタリアから始まり、

地中海一帯にまんえんしました。

 

その後、ヨーロッパ中に大流行して当時の

ヨーロッパの人口 1億人の

4分の1に当たる約2500万人が

死ぬという恐怖の事態を引き起こしています。

 

このままヨーロッパが消滅するのではないか

という恐怖につつまれました。

 

一方で、私たち人間の暮らしに深くかかわり、

私たちの生活に欠かせないプレゼントを

してくれている細菌や微生物たちもいます。

それもかなり昔からの付き合いのようです。

 

乳酸菌の歴史は東地中海 地方で

紀元前 8000年頃にさかのぼります。

 

人間が家畜として牛や山や羊を

飼い始めたのは紀元前 1万年ころ

メソポタミア北部( 現イラク )のあたりです。

 

発酵乳は牛や羊の乳の中に乳酸菌が

偶然に混入して産まれたといわれています。

 

食べてみると意外と美味しく保存性も

増したことで食品として利用され始めました。

 

古代エジプトではナイル川の肥沃な土壌を

生かして麦の生産が盛んでした。

その麦からパンやビール、ワインを作っていました。

 

そしてレーベンという酸性の強い

乳飲料を飲んでいました。

 

世界最古の遊牧民アーリア人は

馬や羊の乳を発酵させたアルコール飲料

を飲んでいました。

 

メソポタミア文明を築いたアムール人は

草原で家畜を飼い、その乳でつくった

発酵乳を食事や医薬品として常用していました。

 

古代ギリシャやローマでは

家畜の乳でヨーグルトやチーズをつくり

貴族が祝日に食べていました。

 

ブルガリアの先住民であるトラキア人は

羊の乳を素焼きの壷に入れて

プロキシュと呼ばれる発酵乳をつくっており、

これが後のヨーグルトになったということです。

 

バルカン半島がヨーグルト発症の地

といわれるゆえんです。

 

これらの乾燥地帯から

乳製品、ヨーグルト、チーズ、バター

などが生まれています。

 

揚子江文明と仮想されている、

揚子江流域ではミソ、しょうゆが作られました。

 

※仮想 揚子江文明は黄河文明と戦い、

戦いに破れたそうです。

 

 黄河文明は鉄製の武器を持っていて

強かったのだそうです。

 

そして戦いに負けた揚子江文明の人たちが

台湾や日本に逃げ延びて、

日本にしょうゆ、ミソの文化を紹介した

らしいという説もあります。

 

06-003】長江文明の発見が意味するもの | SciencePortal China (jst.go.jp)

より引用

 

  日本では日本食として海外で人気の

納豆、漬物、日本酒。

 

  さらに珍味として “くさや”“鮒ずし”、

などなど細菌たちは私たちの生活に密着して

欠かせないものをプレゼントしてくれています。

 

私たち人間が、細菌たちと共存してきた

歴史がよくわかります。

 

どうやら、細菌たちの力なしでは、

私たちの生活は成り立たないようですね。

 

 

⑶《腐敗と発酵》

 

 細菌の働きについて考える時、                      

覚えておいてほしいことは、

腐敗と発酵の違いです。

 

① ≪腐敗とは≫

 

細菌や微生物によって

タンパク質、炭水化物、脂肪などの食べ物や

植物、動物や人の死骸などが

分解され腐っていくことです。

 

腐敗すると、悪臭や有害物質が出てきます。

悪臭には アンモニア、硫化水素などの

強烈な臭いがあります。

 

腐敗は嫌がられていますが、

動物や人の体内にある窒素化合物が分解され、

さらに自然界に必要な窒素に還元され、

窒素の循環を支えています。

 

「くさいものにはフタとは」

いかないようですね。

 

自然界では腐敗も必要な現象なのです。

 

便秘の方は腐敗臭がすると言われる

ことがありますので、

便秘解消は必修科目です。

 

あなたは大丈夫でしょうか

 

② ≪発酵とは≫

 

酵母、乳酸菌などが持っている

酵素によって糖類などを分解して

アルコール、有機酸、二酸化炭素などを

つくること。

 

〈発酵の種類〉

アルコール発酵 酵母が   糖をアルコールと

    二酸化炭素に分解

乳酸発酵    乳酸菌が 糖を乳酸に分解

酢酸発酵    酢酸菌が 糖をエチルアルコールと

     酢酸に分解

酪酸発酵    酪酸菌が 炭水化物を酪酸と

     二酸化炭素と

     水素ガスに分解

グルカゴン酸発酵 カビが グルコース(ブドウ糖)

    グルカゴン酸に分解

などがあります。

 

微生物や細菌は私たちの生活の中に、

深く浸透しています。

 

私たちの先祖たちは、

微生物や細菌をうまく活用して、

すばらしい文化を築いてきました。

 

私たちには、先祖たちが築いてきた

伝統的な文化と知恵を、未来へと

つないでいくことが求められます。

 

 

⑷ ≪乳酸≫

 

 

乳酸菌が糖を分解してつくるものが乳酸です。      

 

乳酸は一般に疲労物質と言われていますが、

今ではその説は覆っているようです。

 

乳酸はむしろ疲労回復をしてくれるようです。

今までは

激しい運動などで筋肉が糖を使い切った時に

乳酸が疲労物質になると言われていました。

 

でも最近の説では、

乳酸は、補助のエネルギーになり

疲労回復を支えているようです。

 

エネルギーとしての乳酸の活用は幅が広く

私たち人間にとってはかかせない存在なのです。

 

乳酸菌はタンパク質の消化吸収を高め、

ヨーグルト、キムチ、ピクルスなどの

乳酸発酵には欠かせないものです。

 

また乳酸菌は周りを酸性にして

他の細菌を撃退してくれます。

 

私たちに計り知れない恩恵を

与えてくれているのです。

 

※ただ例外としてはミュータンス菌があります。

 

 ミュータンス菌は乳酸菌の一種ですが、

私たちの口の中にいて

砂糖からデキストランという

のり状の多糖をつくります。

このデキストランが

歯の表面にくっつき歯垢(しこう)となります。

 

歯垢(しこう)に住みついたミュータンス菌が

乳酸などの有機酸をつくります。

 

そして、ダイヤモンドに次いで硬いといわれる

歯のエナメル質をどんどん溶かしていってしまう。

これが虫歯です。

 

ミュータンス菌は乳酸菌としての仕事を

全うしているだけなのですが、

果たしてミュータンス菌は極悪人なのでしょうか

 

  乳酸について解説しました。

  とても大切なことなので、

 

  補足的に書かせていただきました。