5. 細菌や微生物と人類の共生

《細菌の誕生》

 

 私たちの地球が誕生したのは、今から 46億年前。 

すざましい高熱と放射線や宇宙線が降り注ぎ、

とても生物が存在できる状態ではありませんでした。 

その後 時が経ち、

地球の温度が冷えて海ができるようになった38億年前になると、

地球上には水と二酸化炭素ができました。 

この水と二酸化炭素と太陽の光を加えることで、

生命誕生に必要な最低限の条件が出そろったといえます。 

まだまだ過酷ではあったものの、

まず酸素が無くても生きていくことができる 

バクテリアのようなものが誕生しました。 

それから次は バクテリアのようなものが出す酸素によって

生きていくことができる細菌が誕生しました。 

これで地球上に太陽、水、酸素、二酸化炭素、窒素など、

その後、さまざまな生命が生きていける条件が整ってきたのです。

 

二酸化炭素があれば酸素が無くても活動できる細菌と、

酸素がないと活動できない細菌たちが共存する世界が

できあがったのです。 

そしてこの酸素を必要としない細菌と

酸素がないと活動できない細菌たちは

お互いに共存すると同時に人類とも共存し、

それ以来、私たちの生活に関わり続け、ある時は災いをもたらし、

 

ある時は私たちを助けてくれ そして、なくてはならない存在に

なっていくのです。 

 

 

《細菌や微生物と人類の共存》

 

 8848m エベレストは地上と比べるとその環境は極限の過酷さに

満ちています。

酸素は 3分の1、気温は地上より△50℃ほどの寒さです。

その エベレストで困った問題が起きています。

大量の ゴミの問題です。食べ物の残骸、缶詰、ペットボトル、

空いた酸素 ボンベ、ロープ、などの登山用具、そして最も困るのが

人間の糞便です。

この過酷な酸素と気温の状態では微生物や細菌は生息できません。

もし生きていたとしても活動することができません。

そうすると食べ物の残骸や人の糞便を細菌が分解して

くれないのでそのままの状態で残ってしまいます。

私たちの想像を絶するくらい ゴミが溜っているのです。

登山中に事故で亡くなった人たちの遺体は回収することが

できずに風雪にさらされて ミイラになっています。

ネパール政府は エベレストの ベースキャンプに政府の出先機関を設置して、

ゴミや糞便の管理をしています。その中心を担っているのは

シェルパたちです。ペットボトルや空の酸素 ボンベや糞便を籠に担いで

下山するのです。

また ネパール政府は登山者に ゴミの持ち帰りを義務付けています。

8Kg以上の持ち帰りを義務付けています。罰金制度もあるようです。

ですから 積極的に ゴミ拾いをしないとそこら中 ゴミだらけに、

糞便だらけになってしまい困るのだそうです。

 

私たちの暮らす環境ではどうでしょう。

例えば バナナの皮が道端に落ちているといつの間にか干からびて

無くなってしまいます。犬の糞便も一緒です。

それは微生物、細菌がバナナの皮や糞便を分解してくれるからです。

私たちは

 

「バイ菌」

 

と言って細菌や微生物たちを馬鹿にしていますが

人類誕生以来、私たちは細菌や微生物たちと共存して生きて

きました。お互い支え合って生きてきたのです。

微生物としては、ウィルス、細菌、リケッチア、スピロヘータ、真菌類

などの種類がありますが、中には私たちに悪さをしたり、

病気を引き起こしたり、死に至らしめるものもいます。

 

  リケッチア = チフスなどを引き起こす細菌の一種

  真菌類 = 単細胞もしくは多細胞の生物の菌類で

糸状菌、酵母、キノコ類を含む

 

細菌が病原菌として引き起こす病気だけに絞ってみても、

肺炎、髄膜炎、百日咳、腸 チフス、赤痢、ペスト、破傷風、

結核、ハンセン病、コレラなど私たちを死にいたらしめる

かもしれない深刻な病気を引き起こす病原菌もあります。

結核は 20世紀の前半まで死の病として恐れられていました。

ペストは黒死病と言われ 14世紀に イタリアから始まり地中海一帯

に蔓延しヨーロッパ中に大流行して当時の ヨーロッパの人口

1億人の 4分の1に当たる約2500万人が死ぬという

恐怖の事態を引き起こしています。このまま ヨーロッパが消滅

するのではないかという恐怖につつまれました。

 

一方、私たち人間の暮らしに深くかかわり、生活になくては

ならないプレゼントをしてくれている細菌や微生物たちもいます。

それもかなり昔からの付き合いのようです。

 

乳酸菌の歴史は東地中海 地方で紀元前 8000年頃に遡ります。

人間が家畜として牛や山や羊を飼い始めたのは紀元前 1万年

ころ メソポタミア北部( イラク )のあたりです。

発酵乳は牛や羊の乳の中に乳酸菌が偶然に混入して産まれた

といわれています。食べてみると意外と美味しく保存性も

増したことで食品として利用され始めました。

古代 エジプトでは ナイル川の肥沃な土壌を生かして麦の生産が盛んで、

その麦から パンや ビール、ワインを作っていました。

 

そして レーベンという酸性の強い乳飲料を飲んでいました。

世界最古の遊牧民 アーリア人は馬や羊の乳を発酵させた アルコール飲料

を飲んでいました。

メソポタミア文明を築いた アムール人は草原で家畜を飼い、その乳で

つくった発酵乳を食事や医薬品として常用していました。

古代 ギリシャや ローマでは家畜の乳で ヨーグルトや チーズをつくり

貴族が祝日に食べていました。

ブルガリアの先住民である トラキア人は羊の乳を素焼きの壷に入れて

プロキシュと呼ばれる発酵乳をつくっており、これが後の ヨーグルト

になったということです。バルカン半島が ヨーグルト発症の地

といわれる所以です。

 

それら乾燥地帯から乳製品、ヨーグルト、チーズ、バターなどが生まれています。

揚子江文明と仮想されている揚子江流域では味噌、醤油。

 

※仮想 揚子江文明は黄河文明と戦い、戦いに破れたそうです。

 黄河文明は鉄製の武器を持っいて強かったのだそうです。

 

そして戦いに負けた黄河文明の人たちが台湾や日本に逃げ延びて、

日本に醤油、味噌の文化を紹介したらしいという説もあります。

 

  日本では日本食として海外で人気の納豆、漬物、日本酒。

  さらに珍味として “くさや”“鮒ずし”が、

などなど細菌たちは私たちの生活に密着して欠かせないものを

プレゼントしてくれています。

  

《腐敗と発酵》

 

 上記でも具体例で説明しましたが、 

 

《 腐敗 》とは、

 

細菌や微生物によって タンパク質、炭水化物、脂肪などの食べ物や

植物、動物や人の死骸などが分解され腐っていくことで、 

悪臭や有害物質を出すことです。

 

悪臭には アンモニア、硫化水素などの強烈な臭いがあるので、

腐敗は嫌がられていますが、

動物や人の体内にある窒素化合物が分解され自然界に

必要な窒素に還元され、窒素の循環を支えています。 

腐敗もなくてはならない現象なのですね。

 

便秘の方は腐敗臭がすると言われることがありますので、

便秘解消は必修科目です。 

 

《 発酵 》とは、

 

酵母、乳酸菌などが持っている酵素によって糖類などを分解して

アルコール、有機酸、二酸化炭素などをつくること。 

 

発酵の種類 》 

  

 アルコール発酵・・酵母が 糖をアルコールと二酸化炭素に分解 

乳酸発酵・・乳酸菌が 糖を乳酸に分解 

酢酸発酵・・酢酸菌が 糖を エチルアルコールと酢酸に分解 

酪酸発酵・・酪酸菌が 炭水化物を酪酸と二酸化炭素と水素 ガスに分解 

グルコン酸発酵・・カビが グルコース(ブドウ糖)をグルコン酸に分解 

 

などがあります。 

微生物や細菌は私たちの生活になくてはならないものですが、

その活用方法は考えなくてはならないようです。 

 

乳酸とは 》 

 

乳酸菌が糖を分解してつくるものが乳酸です。 

乳酸は一般に疲労物質と言われていますが、

今ではその説は覆っているようです。

 

むしろ疲労回復をしてくれるようです。 

激しい運動などで筋肉が糖を使い切った時に

乳酸が疲労物質になるのではなく、

むしろ補助のエネルギーになり疲労回復を支えているようです。 

エネルギーとしての乳酸の活用は幅が広く私たち人間にとっては

かかせない存在なのです。 

乳酸菌はタンパク質の消化吸収を高め、

ヨーグルト、キムチ、ピクルスなどの乳酸発酵には欠かせないものです。 

また乳酸菌は周りを酸性にして他の細菌を撃退してくれます。 

私たちに計り知れない恩恵を与えてくれているのです。 

 

※ただ例外としては ミュータンス菌があります。 

ミュータンス菌は乳酸菌の一種ですが、

私たちの口の中にいて 砂糖から デキストランという糊状の多糖を

つくります。

この物質が 歯の表面にくっつき歯垢となります。